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  • 執筆者の写真弁護士 伊藤和子

ストーカー被害から身を守る。

更新日:2018年1月9日



ストーカー行為について、一人で悩んでいませんか?   

 ストーカーによる被害は年々深刻化しています。女性だけでなく男性も被害にあっているのが実情です。恋愛関係にあった場合もあれば、一方的な恋愛感情からつきまとうこともあります。

 まずはSOSを。

 相手にストーカー行為をやめさせ、平穏な生活を取り戻すためには、まずは、あなたが周囲にSOSを発すること、NOという意思表示をすることが大切です。


 ただし、自分だけで解決しようとNOの意思表示をすると思いがけず危険にさらされたり、追い詰められてしまうこともあります。

  そこで、弁護士や警察などに相談して、つきまといをやめてもらうように通知することが大切です。

 あなたは被害者なのですから、相談をすることに、躊躇する必要はありません。

よく言われる 「警察に相談すれば、相手が逮捕されてしまい、余計に逆恨みを受けるのでは?」 「お金がないから弁護士に相談はできないよね?」などの心配も、実は、取り越し苦労だったりします。 相談先としては、警察や自治体の相談窓口、支援者団体、弁護士などが考えられます。


弁護士の出す内容証明にも大きな効果が

ストーカーの多くが、第三者が介入していることを知ると、ストーカー行為をやめます。

弁護士に依頼をして、「ストーカー行為をやめなさい」という内容証明郵便の通知を出すだけで、多くのケースでストーカー行為はなくなります。


ストーカー行為規制法

ストーカーを取り締まる法律も、被害者や支援者たちの声を受けて、使い勝手のいいものに改正されつつあります。 このページでは、ストーカー行為規制法の概略を載せていますが、法律を理解することは少し難しいかも知れません。 一人で悩んでおられる方には、まずはお気軽にご相談されることをお勧めします。


■ストーカー行為規制法の対象「つきまとい等」「ストーカー行為」「つきまとい等」とは◎特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、

◎当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、

◎行う以下(1)~(8)の行為。

※恋愛・怨恨の目的に出たといえないつきまとい等は、対象とされていない。 ※「社会生活において密接な関係を有する者」:「特定の者」の身上、安全等を配慮する立場にある者をいう。具体的には、被害者の学校の教師、職場の上司、友人、婚約者等。 (1)つきまとい・待ち伏せ・押しかけつきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け, 又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。

(2)監視していると告げる行為その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知りうる状態に置くこと。(例)帰宅直後に「おかえりなさい」などと電話してくる。 その日の行動や服装などを電子メールや電話で告げる。

(3)面会・交際などの要求面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。(例)贈り物を届け、受け取るように求める。

(4)乱暴な言動著しく粗野又は乱暴な言動をすること。(例)家の前で大声を出したり、車のクラクションをうるさく鳴らした りする。

(5)無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、電子メールを送信し、若しくはSNSを用いたメッセージ送信等を行い、又は、ブログ、SNS等の個人のページにコメント等を送ること。(例)拒否しているにも関わらず、携帯電話や自宅、会社に何度も電話 をかけてくる。 ※内容や表現は問わない。 ※着信拒否や着信音がならないようにするなどの場合でも、受信履歴等 から電子メールが送信されたことを受信者が認識可能であれば、「電子 メールを送信すること」に該当する。

(6)汚物などの送付汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知りうる状態に置くこと。(例)自動車に糞尿等を付着させる。

(7)名誉を傷つけるその名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。(例)名誉を傷つけるような文章をインターネットに掲載して伝えよう とする。

(8)性的羞恥心の侵害その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと(電磁的記録やその記録媒体を送りつける行為等を含む)。(例)わいせつな写真をインターネットに掲載して伝えようとする。「ストーカー行為」とは、 同一の者に対し、つきまとい等(上記(1)~(4)および(5)(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすること ※(1)~(8)に掲げるつきまとい等の行為のうち、いずれかの行為をすることを反復する行為をいい、特定の行為を反復する場合に限られない。

ストーカー行為規制法に抵触する行為への対応


つきまとい等⇒警告を求める旨の申出⇒警告⇒禁止命令等⇒禁止命令等違反罪

(禁止命令に違反するつきまとい等…6月以下の懲役または50万 円以下の罰金)

(禁止命令に違反するストーカー行為…2年以下の懲役又は200 万円以下の罰金) ⇒援助を受けたい旨の申出 ⇒ 警察本部長等による援助⇒ストーカー行為 ⇒ストーカー行為罪(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金) ※告訴がなくても公訴を提起することができる。

警告実施後、約90%の者がその後の行為をやめています。
  • ※警察本部長等による援助としては、被害防止交渉を円滑に行うために 必要な事項を連絡すること、ストーカー行為等をした者の氏名及び住所 その他の連絡先を教示すること、被害防止交渉に関する事項について助 言すること、被害防止交渉に関する事項について助言すること、防犯ブ ザー等を貸し出すこと、などがある。


■平成28年ストーカー行為規制法の改正概要


(1) 規制対象行為の拡大等

  改正で、恋愛感情等充足目的での次に行為がストーカー行為として追加されました。

・ 住居等の付近をみだりにうろつくこと。

・ 拒まれたにもかかわらず、連続して、  

 イ)SNSを用いたメッセー ジ送信等を行うこと、  

 ロ)ブログ、SNS等の個人のページにコメン ト等を送ること。  

 ※ あわせて、改正法には、性的羞恥心を害する電磁的記録等の明記 「つきまとい等」の一類型である性的羞恥心を害する行為について、 電磁的記録やその記録媒体を送りつける行為等を明記しました。

(2) 禁止命令等の制度の見直し

■ 禁止命令等における警告前置の廃止 ・緊急時の禁止命令等 警察本部長等による警告を経なくても禁止命令等をすることができ るよう改正されました。 また、仮の命令の制度は廃止され、身体の安全に係る場合など緊急時 において、職権発令が可能になりました。  

■ 禁止命令等の更新制の導入 ⇒禁止命令等の有効期間は1年間。 ⇒1年ごとに、聴聞を経て更新可。

(3) ストーカー行為等に係る情報提供の禁止ストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら、そ の者に対してその行為の相手方の氏名、住所等の情報を提供すること を禁止した。

(4) ストーカー行為等の相手方に対する措置等

■ 職務関係者による配慮等 ⇒ 職務関係者は、被害者の安全確保・秘密保持に十分配慮。 ⇒ 国・地方公共団体は、職務関係者に対し被害者の人権、ストー カー行為等の特性等に関する理解を深めるため研修・啓発を行 うものとする。 ⇒ 国・地方公共団体等は、保有個人情報の管理について、ストー カー行為等の防止に必要な措置を講ずるよう務めなければな らない。

■ 民間施設における滞在支援等     ⇒ 国・地方公共団体は、民間の施設における滞在についての支援 および公的賃貸住宅への入居についての配慮に努めなければ ならない。

(5) ストーカー行為等の防止等に資するための措置

 国・地方公共団体が努めるべきストーカー行為等防止・被害者 の保護に資するための措置として、実態把握、人材養成・資質 向上、教育活動等、民間団体との連携協力を追加。


■被害者支援策に関する警察の取り組み

◎各都道府県の警察本部が、生活安全部と刑事部が合同した専門の対処チームを設置。警察署でも刑事部と生活安全課が共同で相談対応を行う。 ◎東京では警視庁に、ストーカーやDV、児童・高齢者虐待などの相談や事件に一元的に対処し、被害者の安全を迅速に確保できるよう、「ストーカー・DV総合対策本部」を改組し、新たに「人身安全関連事案総合対策本部」が設置された。対処チームは、生活安全部と刑事部が連携し、24時間体制で、初動から警察署を支援するとしています。 ◎全ての警察署で危険性判断チェックリストの導入。ストーカー事件の加害者に見られる「相手が苦しんでいる姿を見て喜ぶ」という特徴や、被害者に見られる「相手を傷つけることを恐れる」といった特徴があるかどうかを把握するとされています。







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